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MOA美術館へ(〜via 白い電車)

 2月17日、熱海のMOA美術館に行ってきました。お目当てはこの時期だけ公開される、尾形光琳の《紅白梅図屏風》。
 熱海といえば有名な温泉地。温泉で優雅に一泊したいところですが、そこをぐっとこらえて今回はケチケチモードです。
 ちなみに地元から熱海に行くにはいくつかルートがあります。
 速い順にならべるとこんな感じ。
 《最速》東京→(新幹線ひかり)→熱海 3750円(37分)
 《速》 東京→(新幹線こだま)→熱海 3750円(50分)
 《やや速セレブ》 東京→(踊り子)→熱海 4070円(1時間16分)
 《ケチケチ》東京→(東海道線・快速)→熱海 1890円(1時間33分)
 《プチセレブ》 新宿→(スーパーはこね1720円)→小田原→(東海道線・普通400円)→熱海 2120円(1時間39分)
 《最ケチケチ》新宿→(小田急・急行850円)→小田原→(東海道線・普通400円)→熱海 1250円(2時間15分)

 地元からは新宿の方が若干近めなことも考えあわせ、《最ケチケチ》ルートを選択。片道3時間ほどかけて、いざ熱海へ。
 
 東海道ルートだと市街地から海沿いを行くので感覚的に移動経路をつかみやすいのですが、小田急だと、一度山を抜けるのでちょっと感じが違います。車内には丹沢山系にハイキングにいく人の姿も多く、居眠りからふと目覚めるたびに山が近くになってきます。海辺の町に行こうとしてるのに、電車はどんどん山に入っていく。熱海からどんどん遠くなっているような気がしてなりません。
 新宿を出て1時間42分。ムダな心配をよそに、電車はきっちり小田原に到着。
 小田原駅では、小田急とJRがコンコースでつながっている上、suicaも使えるので乗り換えは簡単。ここまでくれば、熱海までは東海道線で23分。ゴールは近い!
 
 熱海につくと、改札前は意外にも大混雑。もっと寂れてるかと思ったのですが、意外にもがんばっているようです。
 観光案内所で、前売り入場券を購入し、めざすMOA美術館行きのバスのりばへ。
 熱海駅からMOA美術館まではバスで10分ぐらい。所要時間だけだと「歩けるかも」と思ってしまいそうですが、MOA美術館は山の頂にあり、しかもそこに至る道は、ヘアピンカープ連続した狭い道。そこをバスが通るので、歩いていくのは結構危険そうです。多い時間帯には10〜15分に1本ぐらいでバスがでるので、素直にバスを使った方が無難でしょう。
 ヘヤピンカーブの続く急坂をこともなげにバスを駆る運転手さんの技術に感心している間に、バスはMOA美術館に到着。
 しかし、バスが着いたのは美術館の一番下の入り口。お目当ての屏風に会うためには、さらなる旅路(大げさ)が待っておりました。       つづく

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国立新美術館 中身のお粗末なガラス御殿

 2月10日に、オープンしたばかりの「国立新美術館」に行ってきました。なんとなく大混雑しているような気がしていたのですが、行ってみると土曜の昼にも関わらず、門の側のチケット売り場の前にはさして長い行列もできていず、ちょっと肩すかし。
 その日開催していたのは、《ポンピドー・センター所蔵作品展 異邦人たちのパリ1900-2005》(2/7-5/7、企画展示室2E(2000m2))、《国立新美術館開催記念展 20世紀美術探検—アーティストたちの三つの冒険物語》(1/21-3/19、企画展示室1E、展示室1A~1D(6000m2)、《黒川紀章展—機械の時代から生命の時代へ》(1/21-3/19、展示室2C、2D(2000m2))の3つ。
 《20世紀美術探検》を見ることにして、いざ中へ。
 
 中へ入っての最初の印象は・・「意外とショボイ」。
 曇っていて採光がイマイチだったというのもあるかもしれません。
 闇雲にガラスを使ったハッタリの効いた外観とは裏腹に、中は、がらんとした空間に巨大なコンクリートバケツがドカンを置かれただけ、みたいな殺風景さ。このバケツみたいな2つの巨大なコンクリートの逆円錐は、エントランスホールの目玉(?)らしいのですが、グランドレベルにいると、覆いかぶさってくるようで、あんまり気持ちのいいものではありません。もっとも、このバケツは上から観ればそれなりに面白いのかもしれません(私はさして魅力を感じませんでしたが)。
 外観やバケツがハッタリ満点なのに、フロアを移動するエレベータが貧弱なのも、貧相さを感じる原因のひとつかもしれません。
 もうひとつ、地味な印象の原因は、他の美術館で展覧会の導入部に観られる大画面の作り込みが、エントランスホールからは見られない、というより、制作されていないせいかもしれません。これではどこで何をやってるのかが、一目ではわかりません。エントランスホールの印象は美術館というよりはコンサートホールのようです。
 
気をとりなおして
《20世紀美術探検》へ
 入る時、手渡されたのは、
〈パンフレット:A3判2つ折(外面1c/中面4c)〉:中面はフロア図、表1/表4にコンセプトを説明する文章。
〈パンフレット:A5判20頁(4c)〉:作品のカラー写真と子供向け風解説文(小学校高学年(?)以上向け)
〈リーフレット:B4判片面1c〉:田中功起の展示エリアの説明

・・・出品リストがありません・・
見落としたんでしょうか?上記3点は入り口で係の方がセットにして渡してくれました。
って、ことは始めから作っていないってことでしょうか?
それとも、企画側は「出品リストなんて必要ない」って思ってるってことなんでしょうか・・・。

何はともあれ、
なんだか地味な入り口を抜けて、第一のエリアへ。

ここで、この日何度目かのガッカリに遭遇。

 目の前には安っぽいクロスの壁に、これまた安っぽいアルミのレールが取り付けられ、そこから下げられたワイヤーで絵が吊られておりました。いまどき役所のギャラリーだってこんなみすぼらしい見せ方しないだろうってくらいの貧相さ。思わず天をあおげば、壁と天井の間に隙間が・・・。どうやら、壁面の可動性を重視してるらしいです。
 でも、これって、展示エリアが密閉されていない、ということですね。ちなみに、エントランスホールの例のバケツの上面には、レストランとカフェがありますが、いわゆるオープンカフェ状態です。エントランスの混雑が巻き上げるホコリもそうだけど、虫害とか考えてるんでしょうかね。
 
 外観が豪勢だっただけに、見識の無さがひときわ感じられます。
 
 気をとりなおして、先へ。
 
第II部は、工芸や印刷という興味を持っている分野ということもあって、展示方法はともかく楽しくみることができました。展示面積が広いだけあって、点数も多かったし。特にロシアアヴァンギャルドが充実していたような気がします。残念ながら図録買ってない上、作品リストがないので、正確な作品名はあげられませんけど。
 バウハウス関連の文献で名前だけは知っていたモホイ・ナジの実際の作品を見つけた時は、ちょっとした感動でした。うれしい驚きは他にもありました。イタリア未来派が語られる時によく引用される彫刻ウンベルト・ボッチョーニの彫刻も展示されていいたのです。
 紙で作った巨大な人物の頭部像もいかしてました。
 珍しいものとしては、タトリンの第三インターナショナル記念塔が作られた世界の風景をCGで構築した映像作品がありました。でも、これ何もしらないと実際にそういう構造物がロシアにあると錯覚してしまいます。この映像が虚構であるというテロップがでるのだけど、英文でしかもすぐ画面が切り替わってしまうので、英語のできる人でないとわかりません。それにも関わらず、それを説明するキャプションもなかったし。現に隣にいた熟年夫妻は本物だと思っていた気配でした。(マズイでしょ、それは)
 他にも、キャプションがどこにあるのかわからないものがあって、係の人に聞くことが何度もありました。出品リストがあれば、そんなこともあまりしなくて済んだと思うのですが・・・。

 キャプション類の不備は、このあたりまではなんとかなりました。なぜなら、第II部の第1章までは、〈第三インターナショナル記念塔のCG〉を除けば、絵や彫刻、ポスターや工芸品など、見てすぐわかるものばかりだからです。
 
 ところが・・・・。

後半になると、よりわかりにくくなってきます。

まず、どこからが作品なのかわかりにくい。
参加型か非参加型かわかりにくい。

印象的だったのは、
床に直置きされたスレートのオブジェ。動線上に置かれていて、何のケアもしていないので、不注意な人なら踏み込んでしまうような置き方がなされていました。

ここで、私は悩んでしまいました。

これは、普通によけて鑑賞するものなのだろうか?
それとも、わざわざ足をひっかけそうな所に何の註釈もなく置いてあるということは、
鑑賞者が躓いたりして、配置が変わっていくことを狙ったものなんだろうか?  と。

穴の開いた、遊具のようなオブジェもありました。

ここでもおなじ疑問です。

遠巻きにして鑑賞してほしいのだろうか?
穴に首をつっこんでほしいのだろうか?

なぜ悩んだかというと、
触るな、近寄るな、という注意が一切なかったからです。
現代アートの場合、触れてもらうという趣旨の作品もあるわけですから、
この辺は、はっきりしてもらわないと困ります。


で、作品に思いっきり近づいたら、係の人が怖い顔して飛んできました。

なら、最初からわかりやすく展示してほしいものです。

後の方の作品には、ちゃんと注意が掲示されてました。担当者ごとに方針がちがうんでしょうかねえ。

展示はまだつづきます。なんといっても6000m2です。

第III部は
まさに現代といった感じです。

アンドレア・ジッテル、シムリン・ギル、コーネリア・パーカー、高柳恵理、田中功起、マイケル・クレイグ=マーティンという6人の作家の作品が展示されています。

一番わからなかったのが、高柳恵理の凡庸な生け花が作品として展示されていたことです。
他の5人はまだ、なんとなく、感じるものもありましたが、この生け花は意味不明です。生け花そのものが作品として力をもっているのであればいざ知らず、そうでないものを仰々しく見せる(意図的な凡庸さというわけでもなさそうだった)ぐらいなら、タイトルボードだけを出した方が気がきいてると思います。じっさい、最初はそういう作品だと思ってて、生け花見てがっかりしてしまいました。

マイケル・クレイグ=マーティンの作品は、個室風に広くブースを切って、大画面にイラストを並べて投影し、それを切り替えていくといったものでした。こういう仕掛けは大きいハコならではといった感じです。でも、同じように大画面作品を扱った森美術館のビル・ヴィオラ展と比べると、今ひとつ安っぽい感じが否めません。


まあ、全体的に安っぽくて、量だけはあるけど、内容に関する鑑賞者の興味に対しては無頓着で不親切。パンフなどからは、美術館側の言うことだけ聞いていればいい、みたいなセンスを感じます。サイトのトップに業者の入札案内を載せちゃうセンスも凄いです。いかにも、お役所仕事。
きょうび、地方自治体の美術館の方がよっぽどましです。

「展示のみ」を宣言してるにもかかわらず、このお粗末な展示ぶり。これがNATIONAL ART CENTERっていうのが、現代の日本の政府のお粗末さを象徴してるような気がします。

ちなみに、この建物総工費
nikkei bp.jpでは
http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=312997&FORM=biztechnews
365億円とでていました。

365億円もかけたにしては、お粗末すぎる内容。
費用のほとんどが、外観に使われてるような気がしてなりません。
足場みたいなムダな装飾ガラスやめただけでも、内部に相当お金をかけられたはず。
美術館って、まず中身なんじゃないですかね。でも、お偉いさんや黒川紀章センセーにとっては違かったみたいですね。

なんで、こんなデザインになったのか、経緯を調べてたら、以下のサイトを発見しました。これを読んで、お粗末さの理由がわかったような気がします。

関連記事
美術ジャーナリスト:藤田一人Kazuhito Fujita の
藤田一人連載
http://www33.ocn.ne.jp/~artv_tenpyo/tenpyo/webtenpyo/fujita/fuji-1.html

追記1
3階の図書室は、過去の展覧会のカタログなどが豊富に取り揃えられていて、いいけど、狭すぎです。せめて3階全部を図書室にして一般開放されたアートリサーチセンターとかにしてくれてれば良かったのに。

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