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映画「姑獲鳥の夏」

 監督が「帝都物語」の実相寺昭雄と知っていたので、ある程度覚悟はしてました。それでも「D坂の殺人事件」っぽいお耽美映画にはなっているだろうと思って見にいったのだが、こちらの覚悟を上回るダサさでした。インサートカットの姑獲鳥の映像は70年代のテレビドラマ並の安っぽさ。もっとも、その時代の人だからしょうがないっていえばそうなんだけど、少なくとも21世紀の映画観客を納得させられるレベルではないなあ。だって、安っぽい羽つけた女性を黒バックにストリップ劇場みたいなピンクのライティングで撮ってるのよ〜!冒頭でのそのシーン見た時、思わず笑ってしまった。洋物だけどクライブ・バーカーが監督した「ミディアン/死者の棲む街」のNightbreedたちは、丁寧に作りこまれて
いて、キャラによっては美しくさえあったのに比べると、お寒い限り。監督や美術の人間の妖怪に対する想像力や表現力の古さをしみじみ感じてしまった。
 
 腹をくくって見に来たはずなのに、姑獲鳥ダンサーの衝撃で既に帰りたくなってくる・・・。「今日は覚悟して見に来たんだ。がんばれ、自分!!」と心の中で唱えてはみたものの、京極堂登場時の長台詞で、また気力が・・・。新聞のインタビューで京極堂役の堤真一はNGなしで撮れたと自慢げだったけど、必死で言っているといった感じが見え見えで、台詞が自分の言葉になってないません(「デビルマン」の伊崎君じゃないんだからさあ)。わざわざ長回しにする演出的意味もあんまり感じられないし、長回しで使うんならNG出してもう少しちゃんとした芝居してもらってくださいよ〜。
 
 昭和二十年代の雰囲気とか、京極堂の店やめまい坂、薔薇十字探偵社なんかはさすがにいい感じで、カメラワークも実相寺節(?)って感じでよかったのだけど、久遠寺家の内装が貧乏臭すぎます。とてもお金持ちには見えません(TOT)。昔「リッチでなければリッチは語れない」といったCMディレクターがいたけど、その言葉を思い出してしまいました。スタッフのボキャブラリーには「裕福な医院の暮らし」がなかったんだろうなあ。それともうひとつ気になったのが、堤真一の着物の着こなし。夏なのに暑苦しく見えるし(たぶん衣装の選定と着付けの問題かな?)、着慣れてないように見える(これは、彼の問題だろうなあ)。
 
 いろいろ、悪い所を書いてきたけど、もっとも酷いのが脚本です!!単にヘタなのはもうしょうがないかもしれませんが、明らかに言葉が変なのはそれ以前の問題です。「偽善者ぶるのはやめろ」と京極堂は関口君にいうのですが、「それを言うなら善人ぶるのはやめろ」でしょ〜が!文脈的にはそうでないと辻褄が合わないシーンだと思うんだけど。堤真一はその台詞に疑問を持たなかったんでしょうか?
 もう、見ているのが嫌になってきました。それでも見ているのは、覚悟して見に来たんだという歪んだ決意ゆえ(^^;;。そうまですることもないのですが、一応京極夏彦のファンであった(過去形かよ(^^;)私としては人生修行だと思って耐えました。
 
 つらいことの多い映画ですが、いいところもあります。阿部寛の榎木津です。もう、これはサイコーです。彼が出ているシーンは楽しめます。今ひとつ出番が少ないので、彼が現れるまで耐えるのが大変ですが。
 阿部寛と別の意味で感心したのが、木場修太郎を演じた宮迫博之。CASSHERNの時の彼の芝居が印象的だったのでそれとはまるっきり違うキャラをきちっと演じてて「うまいなあ〜」としみじみ思ってしまいました。
 永瀬正敏の関口もいいかもしれません。関口雪絵役の篠原涼子や中禅寺千鶴子役も清水美砂も素敵でした。原作者京極夏彦が出演してたのも楽しめます。傷痍軍人という設定のわりにはやたら福々しいのはナンですが。劇中の紙芝居が水木先生作なのも京極ー水木の妖怪ラインならではといえるでしょう。
 
 脚本家を変えてくれるのなら、シリーズ化する価値はあるかもしれません。堤真一の京極堂はイマイチだったけど、他のキャラはナイスだったのでこれきりなのはもったいない気もするし。監督も別の人の方がいいような気がします。姑獲鳥ダンサーと貧乏臭い金持ちの表現には、思いっきり失望したので。
 
 フツーに楽しむにはかなり難があるし、私としてはいっそのこと最近のJホラー監督の誰かに撮ってもらった方がよかったのでは?と思わないこともないのですが、突っ込みどころが満載という意味では、「まあ、いいか」というタイプの映画でした。

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Comments

数日前にブログを始めたばかりで勉強中です。これからも参考にさせて頂きます!頑張って下さいね。

Posted by: sayaka | 2005.08.10 at 07:48 PM

管理者様へ。新しく書いたブログの内容を告知させて頂くサイトを立ち上げました。宜しければ、ブログ更新の際に是非当サイトをご活用下さい。尚、ご興味無いようであれば、お手数ですがコメント削除の程、宜しくお願い致します。

Posted by: BC7管理人 | 2005.08.13 at 05:10 AM

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